SOWACAFE DIARY

自家焙煎 真岡珈琲豆舎 ソワカフェ の日記

"I do not consider the sale complete until goods are worn out and costomer still satisfied."  - Leon Leonwood Bean 1916
「私は売れた商品がボロボロになるまで使われ、なおかつお客様がその時点で満足していることで物販は成立すると考える。」  - レオン・レオンウッド・ビーン (1916年)

 ■出店予定日時、場所は、ホームページに記載致しますのでご覧ください。→【こちら

つぶやき2

■質問したら、いろいろ教えてくださいました。以下twitterより転載。長くてムズカシイです。頭に表示のないものはy_tambe氏です。

  • @sowacafe 「性質と品質の違い」が恥ずかしながら良くわかっていません。ずいぶん違う言葉なのに混乱しています。想像するに、「珈琲生豆(コーヒーの木の実?)がもとから持っているもの」と「(精度再現性を含めて)飲用に加工する方法の良し悪し」でどうでしょうか?
  • まずは、言葉として:性質(character)、品質(quality)、価値(value)、嗜好(preference)
  • 「性質」は、コーヒー(生豆/焙煎豆/抽出液)の持つ特徴そのものです。これには、例えば「カフェインが多い/○○%含まれる」などの化学的性質が該当。また、「苦味が強い」などの官能的性質もここに含まれます。ポイントは性質自体には「価値判断が含まれない」点。
  • これに対し「品質」も、性質に対して与えられるものですが、「品質が良い/悪い」という価値判断が伴います。「苦味が強い」というのを「これだと苦味が強すぎて良くない」とかいう風に評価するのが「品質」
  • ここでさらに注意しないといけないのは「品質と嗜好」の違い。これは、バッハの田口氏が言う「良いコーヒー」と「美味しいコーヒー」の違いなので、珈琲大全か何かを参照してもらう方がいいかもしれない。「嗜好」は結局、個々人の好き嫌いになる。
  • 同様に「品質と価値の違い」も、やや曖昧です…というのは「品質」の捉え方が、立ち位置によっても異なるから。ただ、直接の香味上の要素が「品質」で、それ以外の「付加価値」(稀少品種、有機農法、フェアトレード、体にいいetc)までひっくるめたものが総合的な「価値」
  • @sowacafe「品質」と「嗜好」の違いは、たんべさんもよく言われているので理解しているつもりです。
  • 正直言うと、基礎研究だけで言えるのは「性質」なのです…「こうすれば○○という成分が増える」「こうすれば○○な香りが強くなる」までは「性質」として、あれこれ言える。ただ、それを「良い/悪い」と判断する人たちがいて、それと繋がって初めて「品質」に昇華する。
  • @sowacafe 「価値」は「価格、値段」と相関しやすいものだと思っています。
  • まさにその通りです…"value"が「価値」であり「値段」でもあるように。
  • 例えば、基礎医学の研究なんかにも、それ自体に一定の意味はもちろんあるのだけど、それが実際の臨床に応用できたときに初めて、その社会的な意味が見いだされます。同様に、コーヒーの「性質」を明らかにするだけでなく、それがカップの「品質」と結びついたときに意味が生じる。
  • @sowacafe ということは、「良い性質」って言葉はおかしいのでしょうか?良い性質にするために品種改良などするような気がしてます。
  • ああ、実はここらへんは言葉の定義が曖昧なので、「良い性質」とか"good character"という言葉を使う人もいます。どっちかというと、特質とか"nature"の語の方が先述の意味に当てはまる部分もあるけど、性質やcharacterもよく使われるので。
  • ただまぁ、「性質改善」よりは「品質改善」の言葉が割と自然ですよね?
  • それと「良い性質」good character、という表現は、沢山あるcharacterの中のうち、一つを対象に見る場合には割と使われますね。これと比較すると「良い品質」good qualityは、それらをひっくるめて、総合的に見る場合に使われる。
  • この場合「良い性質」という表現は、「良い特性」とか「特長」に置き換えが可能です。こういうケースでは、個別の「性質」に価値判断が加わっているとも言えるでしょう。
  • あと、例としては…「雑味も味のうち」的な主張というのがありますが、そこから考えてもいいかもしれません。そうすると「雑味も味のうち」は、二つの立場から発せられることが見えてくる。
  • 例えば「カビ臭い」ってのは代表的な「欠点」になるわけですけど、性質を見る立場からは「カビ臭の原因物質の濃度が高い」「カビ臭が強い」という、とりあえず、それが良い悪いは置いておいて、そういう「性質」を指します。
  • それともう一つの立場は「個人の嗜好」です。世の中にはいろんな好みの人がいて、中にはカビ臭さのある豆の方が好きだ、という人もいないとは限らない…実際、例えばギリシャなどでは伝統的にリオ臭がある方が好まれたりとか。
  • コーヒーは実際「嗜好品」なので、最終的には「美味しい/美味しくない」「好き/嫌い」に行き着くわけですが…ここらへんはかなり曖昧で、基準が作れない領域です。が、その消費者社会での最大公約数的な部分を見極めることで、「消費者にとっての香味上の品質」は存在しうる。
  • したがって、ギリシャみたいな(我々から見ると)ちょっと変わった嗜好が広まっているところでなければ、最大公約数的に「カビ臭さは(その消費者集団の大多数に)好まれない」という大まかな合意が形成されうる…そのとき、それがその消費者集団にとって「品質」になります。
  • ただまぁ、このへんも言うのは簡単だし、実際「美味しさの定義」なんて、無茶に比べればまだマシなのだけど、それでも雲を掴むような部分があることも否定はできなかったり…。
  • そもそも、生産者サイドでいう「いいコーヒー」と、実際に飲む人のいう「いいコーヒー」は別物なので。
  • その、てんでばらばらだった「いいコーヒー」に、共通する一つのモノサシを与えたのが、SCAAのフレイバーホイールなわけです。
  • @sowacafe むむむ、「品質」って絶対的指標じゃなくって相対的なものなのでしょうか?価値判断が伴うってことは。それに消費者ってだれ?ってのも人によって違うし、、、なんかしっくりこない、、、
  • そこで「最大公約数的な」が効いてくる。そもそも(リオ臭が好まれる世界があるように)絶対的尺度は存在しないとも言えるけど、完全に好き勝手な相対主義は何も定義しないに等しい。実際は「大まかな何か」としての品質がある
  • 「香味上の品質」と絞れば、少しはマシになります…基本的にはブラインドでカッピングして(=付加価値の要素を除いて)判断すれば「カップの性質を確認し、それに価値判断を下してる」ことになるから。
  • @sowacafe 品質を提案もありかもしれないですね。
  • そうですね…でもまぁ、「新たな品質の提案」とは例えば、「道徳」とか「倫理」とか、あるいはそういう面を含む「宗教」を作り上げるのに似てるのかもしれません。
  • それから、今回アメリカで発売されたブロンドローストの(科学的にはおかしな)解説は、アメリカのトレンドを読みとる上では大事というか…要は、スタバは「科学的に正しいことを言うこと」でなくて「消費者が今、望んでいるだろうもの」を説明しただけなのだ、ということ。
  • つまり、スタバは「浅煎りコーヒー」を売ろうとしてるのでなくて、「コクと酸味がマイルドなコーヒー」を売ろう、としてるのだ、ということ。
  • なぜそれを売ろうとするのか、には恐らくスタバの徹底したマーケティング調査が背景にあるのでしょう。そこらへん、徹底してるよね…でなきゃ、多分、エイジドスマトラ売ろうなんて発想も出てこなかったろうと思う。
  • @kisanjin いやいや、スタバは「消費者が今、望んでいるだろうもの」を「創造」しただけなのだ。それが「捏造」じゃなきゃいいけどww QT @y_tambe: スタバは「科学的に正しいことを言うこと」でなくて「消費者が今、望んでいるだろうもの」を説明しただけなのだ、ということ。
  • その指摘は鋭いw ジョブス的だ。
  • ただ、それが「コクがマイルドで、酸味が豊か」ではなかった、というところもポイントで、それはおそらく、アメリカにおいて「コーヒーのacidity」という言葉が、どのようなイメージで消費者に受容されるかを示唆してるのだろう、と。
  • @kisanjin 今回のスタバによる「早煎り」回帰シフト・・・もうそろそろ、SCAEの守旧派とかSCAEですら嫌っているヨーロッパ陣営が、USA主導の「品質」「嗜好」から離反するキッカケになれば好いのだけれどなぁ・・・欧州が動かないと生産国や日本だけじゃ対立軸は形成できないだろうし・・
  • @kisanjin まぁ、だからと言って、イタリアっぽくエエ加減ばっかりとか、フランスっぽくプライドばっかりとか、ドイツっぽくバッサリばっかりでも困るんだけどネ。でもまぁ、連中は我が強くても押しつけは弱い。世界の隅から隅までアメリカじゃなきゃだめ!っていう品質論よりはまだ身動きとりやすいだろうしw
  • @kisanjin 何にしても、日本でファストコーヒーを目隠しで飲んだらスタバもマックもミスドも皆同じ味だった、おまけにスーパーの安売りレギュラーコーヒーを家で淹れても同じ、みたいな方向にはなって欲しくはない。ここはひとつドトールあたりに立ち上がってもらうしかないかな?やれんのか?ww
  • @sowacafe どもです。「消費者が望んでいること」「今は望んでないけどこれから望むこと」を創造創出提案することって、すんばらしいことだと私的には思っています。独りよがりはNGだけど、そんなことやりたいです。私の消費者はご近所さんだけど。スタバってすごいんだなー