SOWACAFE DIARY

自家焙煎 真岡珈琲豆舎 ソワカフェ の日記

"I do not consider the sale complete until goods are worn out and costomer still satisfied."  - Leon Leonwood Bean 1916
「私は売れた商品がボロボロになるまで使われ、なおかつお客様がその時点で満足していることで物販は成立すると考える。」  - レオン・レオンウッド・ビーン (1916年)

 ■出店予定日時、場所は、ホームページに記載致しますのでご覧ください。→【こちら

むずい。

■4日に私が書いた、"〜 欠点豆(カビ豆、未熟豆、虫食い豆などなど)の選別、お米でさえ機械化しているんだから、珈琲豆の機械選別なんて楽勝だと思うのですが、、、そんな投資するほどのneedsがないってことでしょうか。 〜"(click!)などなどに対して、twitterにて、@y_tambe氏が、言及、解説してくださいました。ありがとうございます。以下転載。

  • コーヒー豆の選別機はあります。ソーテックス社のとかが有名どころ。

http://t.co/EEdB9cp 基本的には一粒ずつ流しながら、紫外、赤外、可視光の吸光や、蛍光でソーティングかけていくもの。

  • これらの選別機の多くは、大手のロースターが導入してて、焙煎前に生豆の選別かけるのに使ってることが多いです。特に、カビ豆や発酵豆などは、少量混入しただけで、釜全体が使い物にならなくなるので、大量に焙煎する場合に役に立つ。焙煎後の選別にも使うことも一応可能だけど。
  • で、こういう選別機を、産地レベルで生豆の生産段階に導入できないか、というのはもっともな話なのだけど、現状はあまり進んでません…というのは何と言っても値段の問題だろう、と。
  • それから「焙煎直前に脱殻する」というアイデアも、流通を考えると難しい部分が。要はカビの問題。生豆はただでさえカビやすいので。輸出時には、生豆の水分量を13%以下にしないと基本的に乾燥しなおし。パーチメントの状態では、ここがクリアできない。
  • 生豆に発生するカビは「カビ豆」の原因になるだけでなく、オクラトキシンA産生性のものが知られているので、食品安全の面からも問題になるのです。
  • あとパーチメントだけでなく、果肉部分まで残したものの場合は、その状態で香味が変化していく可能性があって。一般に「発酵豆 (stinker bean)」が出やすくなると言われる。ここを巧くコントロールできればユニークな生豆が出来ると思ってるけど、その技術は未発達な段階。
  • まぁなんにせよ、これらのような問題から、「安定な生豆」を供給するためには、水分量を調節した生豆の状態で取引、輸送することに長があるのです。それでもなお、輸送中のカビ発生などの問題もはらむので、産地でソーティングしても、焙煎直前の選別は不要にならず、二度手間&コスト増になる。
  • それでもなお、近年は生産地で選別機使ってソーティングすることによって、高品質な生豆を提供しようとするところも、ぼちぼちと出てきているという感じ。それだけ、生産者側でも「高品質による差別化」の意識が高まってきてる。
  • 選別機使ったコーヒー生豆の選別については、例えば2002年9月の日経サイエンスに載った、Eイリー(イタリア・イリカフェ会長)の総説(拙訳)にも「うちにも導入しているぜ」という話(宣伝)が出てきてる

http://t.co/x73htIN この時期に大手ロースターに普及。

  • まず、この方法を確立させたのは、消費国側の大手ロースター。生産側において導入コストが掛かることは確かだけど、それは差別化であると同時に、機械化(≒人件費削減)にも繋がる、近代化への流れでもある。
  • さらに加えて、生産側で欠点豆が除去されることで、最近は「欠点豆が判らない焙煎士」が増えてきてることを個人的に懸念してる。「生豆が良いから、事前のハンドピックが楽でいい」というのは確かだけど「事前のハンドピックは不要」という主張にまでなると、極論か詭弁じゃないかというのが僕の意見。
  • 生産者が保証できるのは、あくまで輸送する直前までの話。そこから先、ロースターの手元に届くまでの輸送中に発生する変質についてまで、100%の責任を生産者に追求するようなことは、却って生産者をバカにした話でしょう。変質を少しでも防ぐために麻袋止めるところもあるけど100%ではない。
  • 「輸出時には問題がなくても、それ以降に出現する欠点豆」があるし、産地によっては「輸出時に問題が無い」をクリアすることが難しいところがある。だからそれを除く手間は、最終的にどうしても、焙煎者に委ねられる。
  • 良い自家焙煎店ってのは、ただ単に焙煎機の扱いが上手いとか、常にベストの煎り止めを見極められるとか、そういう派手な部分だけじゃなくて…欠点豆のハンドピックのように、非常に地味で、堪える「下地」の部分でも決して手を抜かない…そういう「しっかりした背骨」があるものだと。
  • あと個人的なアイデアとしては、中小規模の自家焙煎店で使える程度の、生豆選別機なんてあったら…なんて思わなくはないですが、問題は値段だろうなぁ。
  • あとまぁ「機械の判断だけに任せられるか」という人もいるだろうなぁ、と。個人的には、今の選別機のレベルは大したものだと思ってるけど、それでも「最後はやっぱり自分の目で確かめないと不安で」という人もいるだろうし。
  • 実際、熟練した人のハンドピックのスピードはかなりのものだからなぁ…元の生豆の品質が良ければ、下手すると、機械導入してもあんまり手間が変わらないなんてことになったりして…。
  • 選別機の普及率が上がっていけば、そのうち、中央アフリカの「ポテト」とかの、見分けにくいヤツまできちんとはじいてくれるような方法が確立されないかなぁ、とかいうのも期待してるのだけど。
  • ああ、ポテトをはじくのであれば、生産地への選別機導入でも、ひょっとしたら何とかなったりするかも…。何にせよ、この辺りの技術には、まだ期待できることが多い。
  • 例えば、米用で小型の光選別機で、200万円くらいか…

http://t.co/QsfKTJA 生豆だと、t単位でなくて、むしろ1回60kgくらいまでの方が使い勝手よさそうなんだけどな…しかも贅沢言うと可視光と近赤外があれば…とかなると…ちょっとなぁ。

  • 何にせよ、値段が高い機械なので中小が導入するのが難しく…で、結局は大手ロースターとか、生産国側でもむしろ生産量から、まだ多く捌けるコモディティで、しかも比較的高いグレード…いわゆるプレミアムコーヒーと呼ばれるあたりから広まって…という感じかな、と。
  • 考えれば考えるほど、割に合わん気がしてきた。

□うむむ、、、
□主食で国内消費用の米と、嗜好品で輸出商品の珈琲豆の加工方法の比較は、できるようなできないような、
□珈琲生産国でかつ大量消費国がもしあれば、その国における国内加工流通工程がどうなってるのか調べれば参考になるのでしょうか?なんねーか。それにそんな国ないか。
>特に、カビ豆や発酵豆などは、少量混入しただけで、釜全体が使い物にならなくなるので、
□ ↑ この辺の事実常識であろうことが、恥ずかしながら正直言って、自分で焙煎していて実感できていません。ダメダメです、、、カビ豆集めてカビ豆比率おもいっきり増して焙煎してみるのが早いかなぁ。
□まーとにかく評価方法確立が先だ〜。実験進めなくっちゃ。