SOWACAFE DIARY

自家焙煎 真岡珈琲豆舎 ソワカフェ の日記

"I do not consider the sale complete until goods are worn out and costomer still satisfied."  - Leon Leonwood Bean 1916
「私は売れた商品がボロボロになるまで使われ、なおかつお客様がその時点で満足していることで物販は成立すると考える。」  - レオン・レオンウッド・ビーン (1916年)

 ■出店予定日時、場所は、ホームページに記載致しますのでご覧ください。→【こちら

■珈琲香味の定量的評価方法の確立(第二報)途中経過

■第一報(click!)は、お恥ずかしいことに、考察、結論まで至らずに頓死してしまったので、今回はとにかく欲張らずにピンポイントで、最後まで実験を遂行することを第一目的としていきます。

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更新履歴

  • 20110817 新規_0
  • 20110817 更新_01 try1,結果速報追加、写真説明追加、
  • 20110818 更新_02 被験者→評価者に変更、methods追加、
  • 20110819 更新_03 sample名称A,Bに統一、青色文字使用、原材料に有機JIS明示
  • 20110819_2 更新_04 try2途中経過速報、try1続報、粉砕方法記述、焙煎方法一部記載、評価者→測定者に名称変更、写真位置変更、写真背景処理、生豆前処理時の分別豆の重量を削除←含水量が違うから、比較できないじゃん!、写真の分別した不使用豆を欠陥豆表記やめた←本当に"欠陥"豆なのかどうか解らないから。
  • 20110821 更新_05 測定6実施、結果を追加。今回の実験の測定はもう打ち切ります。考察をぼちぼち書き始める。 あちこち推敲、湿度計購入見合わせ理由追加。実験結果table作成中。roaster仕様記入。
  • 20110822 更新_06 有機JIS→有機JASに訂正、しゃれにならん。結果の表を少しだけ進める。
  • 20110823 更新_07 結果の表、なんとなく完成。考察を少し追加。
  • 20110824 更新_08 考察を推敲、追加。「明らかに」←明らかじゃないので削除、二重盲検法のやりかた、、、
  • 20110825 更新_09 アグネトロンカラーディスク#追加、結果の最後の部分追加。考察を追加。結論書いた。引用書いた。Subject中の欠陥豆→欠点豆 に変更、これのが一般的みたい。アメリカ風?に、結論を頭に持ってきた。Abstruction,Introductionは今回は略かな、明日でケリを付けるつもり。

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■ Subject: 珈琲香味の定量的評価方法の確立(第二報)欠点豆の香味に対する影響について
■ Conclusion:

  • 今回の実験において適用したsample準備方法、測定方法では、二種類のsampleについて、「香味の差異を検出できるか出来ないかの判断ができない」ということが解った。
  • その原因として、
    1. 測定者の測定精度及び感度が不十分なため
    2. sampleの香味の差異があまりに小さく、測定限界以下のため
  • の2つが考えられるが、現段階では、精度、感度を上げるための各種方策を検討する余地がまだ十分にあり、さらなる実験方法の改良をすべきである。
  • また、今回行った測定法は、二重盲検法としては不備があり、「必ず違いがあるはず」と言うバイアスが測定結果にかかっており、方法変更の必要があることが解った。
  • 次報においては、上記観点より、実験方法を改修し、欠点豆(特にカビ豆)の香味に対する影響についての信頼できる測定法の確立を目指す。

■ Methods:

  • 香味測定は二重盲検法で行った。(引用1)
  • 原材料:ブラジル連邦共和国セラード地区パライーゾ農園産生豆、品種カトゥアイ、スクリーン15以上、精製方法:ドライ法だと思うが詳細未確認。「基本的に天日乾燥、一部マシンドライ使用の場合あり。」との情報。有機JAS認証豆、収穫年度未確認、
  • sample:
    1. sampleA:入手した生豆を何の処理もせずそのまま使用し、焙煎、粉砕、抽出を行った液体。
    2. sampleB:焙煎前に前処理を行った。その他はsampleAと同じ。

 
 (写真1、分別除去豆すべて)
 
 (写真2、白っぽい豆)
 
 (写真3、全体に茶色い豆)
 
 (写真4、赤っぽい豆、変形つぶれ多い。)
 
 (写真5、緑っぽい豆、虫食い穴多い。)
 
 (写真6、一部黒っぽい豆)

  • 生豆の焙煎前処理方法:(Date2011/08/14_15)
    1. step1:水洗_生豆300gを水道水流水にてザルを用いて水洗。米を研ぐ場合と同様の要領で約10分間行った。(Date2011/08/14)
    2. step2:乾燥_新聞紙で表面の水分を除いた後、屋外にて天日乾燥6hr(天候晴れ)、その後乾燥紙上に広げて室内放置乾燥。含水率は不明。
    3. step3:目視にて、小さい豆、割れ潰れ豆、色や表面状態が異なった豆、小穴の開いた豆を取り除いた。約3時間をかけて行った(かなり丁寧)。分別除去豆のは、小粒、ピーベリーが過半数。その他、白っぽい豆、全体に茶色い豆、赤っぽい豆、緑っぽい豆、黒っぽい豆など。(写真1~6) 水分率不明のため、重量比による分別除去豆の含有比率の調査は行わない。
  • 焙煎、粉砕、抽出方法:そのままの生豆、前処理済生豆、をおのおの同じ方法で焙煎、粉砕、抽出を行い、sampleA、sampleBとし、香味測定用抽出液体を準備した。

 
 (写真7:焙煎後の珈琲豆(各40g))

  • 焙煎器具、方法:金網ドラム型サンプルロースター使用。熱源:ガソリンストーブcoleman533(10500BTU≒2700kcal)、ドラム半径 75mm、ドラム長さ 90mm、金網メッシュ 5mm□、ストーブ火口からドラム最下端までの距離 約115mm、焙煎時ドラム回転数 約120rpm
    1. 焙煎Date:2011/08/15、室温(r.t.)30℃
    2. 焙煎時間、焙煎前後重量変化(注:金網より一部小豆がこぼれるし、生豆の含水量同一ではないので、香味成分の加熱化学変化による重量変化だけではない)
      1. sampleA:08'00"、150g→129g
      2. sampleB:11'40"、200g→162g
    3. 2ハゼ真っ最中(煙と音が最大と思われる時)に火消、速やかに焙煎器より豆を取り出し金属ザル、うちわにて空冷。(写真7)
    4. sampleB、いずれもアグネトロンカラーディスク#45と#35の間(*注1)(*引用1)

(*注1:白色蛍光灯下及び白熱灯下で判定。#45=2ハゼの昇りばな、#35=2ハゼの最盛期、と言われている)
 
 (写真8:spong型手動粉砕機)
 
 (写真9:粉砕後の焙煎豆)

  • 粉砕器具、方法: spong型手動ミル(写真8)使用。抽出直前に粉砕した。粒度、粒度分布は、未計測(いわゆるペーパードリップ用程度)(写真9)

 
 (写真10:ハリオ製円錐形ドリッパー、抽出器具)

  • 抽出方法:2つの試料を平行して同時に抽出を行った。(写真10)
    1. try1実行時の抽出条件;粉40g、480ccをサーバーに落としたところで抽出終了。湯温87℃→85℃。機器はハリオ製円錐型ドリッパー使用。充分沸騰させた水道水使用。(当方水道水は鬼怒川伏流水の深井戸より採取されている)(Date20110817)
    2. try2実行値の抽出条件;粉20g、245ccをサーバーに落としたところで抽出終了。湯温90℃→87℃。機器、使用水、抽出法は同様。(Date20110819)

 
 
 (写真11:香味比較測定用器具)

  • 香味比較測定方法:思った感じたところ、印象等を自由に報告。フォーマットなし。測定方法(味わい方)自由。(写真11)
    1. 測定者:2名、40歳代男性、40歳代女性、どちらも珈琲喫茶暦30年程度、喫煙暦なし、

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■ Results:

  • try1(焙煎後2日)(2011/08/17粉砕抽出)
      • 焙煎豆香:測定者2名とも、sampleAのほうが香りが強い。
      • 焙煎豆を挽いた粉の香り:測定者2名とも、A,B,の違い解らず。
    • 香味測定その1(201108172200):抽出直後測定。sample液温55℃、r.t.=30℃(暑い!)、湿度不明
      • 測定者2名とも、sample_A,B,の香り、味、共に違い分からない。
    • 香味測定その2(201108172400):抽出後2時間に測定。sample液温30℃(r.t.)
      • 測定者1、sampleBのほうがわずかに苦味が強い。
      • 測定者2、sampleAのほうがわずかにstrongで、わずかに酸味。sampleBのほうが比較的あっさり。
    • 香味測定その3(201108180800):翌日朝(抽出後10時間)測定。sample液温33℃、r.t.33℃
      • 測定者1、sampleBのほうがわずかに苦味が強い。
      • 測定者2、ample_A,B,の違い分からない。
    • 香味測定その4(201108192200):翌々日晩(抽出後2日)測定。2日間ガラス容器保管、アルミホイル封(密封ではない)、室温放置。測定直前に電子レンジで加熱。sample液温55℃、r.t.27℃(そんな暑くない雨上がり(湿度不明)。
        • (表示用sampleNoの書き換え実行により、試験その3までの経験を使えないようにした。)
      • 測定者1、違い解らない。香り無い。
      • 測定者2、sampleAのほうがわずかにstrongで、わずかに酸味。sampleBのほうが比較的あっさり。どちらかと言えば、Aのほうが美味しい。香りは少ない。飲み終わったカップにわずかに加熱臭←抽出後熱を加えたまま置いておいた時の悪香。

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  • try2(焙煎後4日)(20110819粉砕抽出)
    • 香味測定その5(201108192230):抽出直後測定。sample液温65℃、r.t.=27℃、湿度不明
      • 測定者1、どちらもtry1時よりも美味しい。A,Bの香味の違いは解らない。
      • 測定者2、sampleAのほうがわずかにstrongで、わずかに酸味。sampleBのほうが比較的あっさり。どちらかと言えば、Aのほうが美味しい。香りは少ない。
    • 香味測定その6(201108212000):翌々日晩(抽出後2日)測定。2日間ガラス容器保管、アルミホイル封(密封ではない)、室温放置。測定直前に電子レンジで80℃まで加熱。室内放置し、sample液温40℃で測定。r.t.=25℃(けっこう涼しい)
      • 測定者1、どちらも苦くて渋い。 sampleBのほうがbetterだけど、おいしくない。
      • 測定者2、差はわずか。どちらもフレッシュじゃない感じでまずい。sampleBのほうが比較的エグイ。

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Table.1 香味測定結果













































  

sample_A
(未処理品)

sample_B
(前処理施行品)

note

測定_1

差なし
差なし

差なし
差なし

抽出その1、抽出直後、
液温55℃、r.t.=30℃、

測定_2

N/A
strong、酸味

苦味
あっさり

抽出その1、抽出2h後
液温30℃、r.t.30℃、

測定_3

N/A
差なし

苦味
差なし

抽出その1、抽出10h後
液温33℃、r.t.33℃、

測定_4

差なし
strong、酸味、better

差なし
N/A

抽出その1、抽出後2日、
液温55℃、r.t.27℃、

測定_5

美味しい
strong、酸味、better

美味しい
あっさり

抽出その2、抽出直後、
液温65℃、r.t.27℃、

測定_6

苦渋、まずい、
まずい、

苦渋、better、まずい、
エグ味、まずい、

抽出その2、抽出後2日、
液温40℃、r.t.25℃、

 注1) 各カラム、一行目は測定者1、二行目が測定者2、の測定結果。
 注2) 特に測定結果コメントない場合は、「N/A」とした。

  • 測定者_1においては、
    • 6回測定中2回(33%)において、sample_B(前処理品)の方が比較的苦いと測定している。
    • 4回(67%)の測定については、A,Bの違いを検知していない。
  • 測定者_2においては、
    • 6回測定中3回(50%)において、sample_A(未処理品)の方が比較的strong、酸味あり、
    • 2回(33%)において、Aの方がbetter、と測定している。
    • 2回(33%)の測定については、A,B,の違いを検知していない。
  • totalすると、
    • 50%(12回測定中、6回)の確率で、A,Bの違い未検知。50%の確率で何らかの違いを検知している。

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■ discussion:
-sample_A,B の差異を検知できるかどうか、と言う観点では、この実験結果からは、「検知できるかどうか解らない」、ということが解った。

  • 香味測定結果は、sampleA,B間の差と同様に、繰り返し測定の測定間、及び測定者間の差も大きい。抽出条件、抽出からの経過時間、測定時sample温度、測定者1,2の差異、測定環境および測定者の体調など、などの違いが、香味測定結果の差に大きく影響している可能性が高い。
  • 次報からは、せめて、抽出条件一定、抽出直後測定、sample温度同一、で統一します。測定環境、測定者の体調気分はどうしようもなさそう。
  • 測定者も一人にしちゃうって手もあるけど、どうしたものか、、、なんか、独りよがりになりそうな気がする。特定の測定者2名で固定して、測定者の違いによる測定値の違い、ってファクターは残しておこうかと思う。
  • 本当の二重盲検試験になっていない気がしてきた。今回の実験では、測定者は、(A,Bの区別はつかないものの、) sampleAとBが別物であること、およびその素性をわかっちゃっているのですが、それってNGかも。ぷらせぼ効果とか検証できないし、、、試験法もっと検討しなくちゃだめだ。
  • Keyは測定精度の向上。それには現在の測定精度の把握が必須、ですよね〜。常識的には標準試料を繰り返し測定して、測定精度確認だよなぁ、、、香味が経時変化しない標準サンプルを設定、あるいは容易に正確に同じ香味の標準試料が安定して毎回作成できる方法を確立すべき!←それができたら苦労はしない。難しい。
  • 結果の信頼度上げる方法として、測定者人数を増やすと言う手もあるが、実験条件管理難しくなるし、香味の認識の個人差と言う、訳のわかんない難しい因子が増えるので、測定者はこのまま同じ2名で固定して、測定回数をガンガン増やすことで、精度上げていく方向が良いと思われる。あまりやりたくないけど、統計解析的なデータ処理も視野に入れなきゃならんかもしれない。
  • 欲張ってなかったつもりが、それでもまだ変化させてる因子多すぎ。結果が、「差が解らない」となってしまうのを恐れて、怪しそうな因子を一度にみんな振ってしまった。(サラリーマン病かも。)もっともっとシンプルな実験やるべき。「差が分からない」って結果になっても上等、誰にも怒られるわけじゃない、って心意気で次回は行く。 simple is best!
  • 生豆前処理で水洗いしちゃうと、含水量が変わるため重量比が使えなくなってしまうので、面白くない。次報は水洗い抜きで。
  • 次報は、もぉ、はっきり、「カビ豆を除く除かないでの香味の違いがあるかどうか、その差を認識出来るかどうか、」に焦点をを集中しちゃうべきだろう。

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■ reference:

  • 1)ウイキペディア「二重盲検法
  • 2)田口護:田口護のスペシャリティコーヒー大全.PP77,NHK出版,東京,2011. 

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■ Memo:
□資料調整方法、測定結果の再現性、信頼性確認からこつこつやらないとだめかなぁ〜。 どんどん深みにはまって行きそう。
□やっぱ、生豆粉砕してから加熱処理すべきかも。香りの揮発が嫌なら、密閉状態加圧状態で加熱するとか、、、都合よく、欲しい香りだけ豆中に残して、不快な香り(匂い)を揮発させるなんて、出来っこないと思う。減圧加熱かなんかで、揮発する成分を豆中からすべて追い出したら? 欲しい香気だけ分離して、豆に再度吸着させるとか、、、分離難しいか。
□焙煎時に、豆の形状で加熱する必要性が解らない。

  • 測定環境計測用に、湿度計欲しい。

 →20110821:大型ホームセンターで、1000〜2000円ぐらいの温湿度計見てきたけど、展示してある品物の表示湿度を見たら、同一機種でさえ湿度60~70%ぐらいでばらついていて、全然信用ならない。まあ相対的な目安にはなるんだろうけど、気持ち悪いので購入せず。

  • Roasterのドラム、金網から小さい豆こぼれないようにメッシュ変えるべきか?変えないべきか?生豆の粒度分布の違い(よーは小豆含量)による焼けムラ、その焼けムラによる香味の変化について、どう扱うか、、、別実験ですね。 とりあえずは煎りムラのfactor除くため、小豆は排除すべきなんだろうなぁ、、、
  • sampleA,Bで、焙煎時間が違いすぎる、、、なんでだ? 焙煎条件が不安定過ぎってことか、、、 豆粒径分布、含水量、チャフ量など違うけど、
  • ↑ 生豆投入量違うのが主原因ですね、きっと。←だめじゃん。次回はあわせます。

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